「誰、アレ?」 紘子が目を細めながら影を凝視する。 私も目を凝らして見てみるが、逆光でよく分からない。 しかし、全く知らない人ではない感じがする。 人影はこちらを見たと思うと、一直線で駆けてきた。 「先輩!」 あぁ、なんだろう。 この感じ、久し振りだなあ…… 「紘子先輩、涼先輩!」 やっぱり。 右側のアホ毛を揺らし、廉が走ってきた。 彼は私たちの前に立つと、ニッコリと笑った。 「清水くん!こんなところで何してるの?」 紘子が目を丸くしながら、廉に訊く。 彼はへにゃっと笑って答えた。