「やっぱり、一人を庇うなんて無理なんだよ。怪しいと思ったものは、全て疑わなきゃ。
この問題をいち早く解決するためにも」
「……」
驚いて何も言えない。
涼にこんなことを言う力があったとは。
優しく、説得力のない彼からは全く想像のつかない言葉だった。
沈黙が落ちる。
時計の秒針と、外で鳴くカラスの声がやけに大きく聞こえた。
「アカネさん……」
どうしてだかは分からない。
何故か、彼女の名前を呼びたくなった。
二人がゆっくりと首を動かし、私の方を向く。
「アカネさん、どうしてああなっちゃったんだろう。何で普通に学校生活を送れなかったんだろう」
「……」


