私は紘子を二度見した。
その真剣な表情に気圧されながらも、頭の中では一つの感想が浮かんでいた。
「何をこの子はバカな事を言ってるんだろう」
「お前に言われたくないわ!」
バシンと筆箱を叩く。
ちょっ、それ私のモノなんだけど!
そんなことに気を留めず、彼女は話し続ける。
「発見者特権だよ!やる価値あるって!」
「言っておくけど、ドラマの世界じゃないぞここは」
「んな事知ってるよ。ただ、この事件を最後まで見送りたいだけなんだ」
カッコイイ事をサラリと言う。
しかし、それを実現するには不可能に近い。
「よくこの数日で立ち直ったもんだ……」
「お褒めに与り光栄です」
いや、褒めてないよ。


