「でもな、よく考えてみろよ。人間、腹の底は真っ黒ってこともあるんだよ?と言うか、ほとんどの人間が腹の底は真っ黒だ」
「そうかもしれないけど……!」
「だいたい、裏表のない人間なんてそんなに存在しないんだ。まぁ、庄司は裏表無いだろうけど」
「失礼な!」
そこで何故私が出てくるのだ!
机を叩き、涼の頭を軽く叩く。
しかし、本人は何のその。
そればかりか、
「あぁ、確かに言われてみれば恵美に裏表なんて存在しないわ」
「納得すんなこのやろう!」
紘子にまで感染した。
彼女は座り直して頬杖をつくと、こちらに向かってゆっくり首を縦に動かし、納得したように息を吐く。


