ファーストフード店で廉が言ってたこと……か。
『何か先生に怒られてこいって言われたんだよね』
これか。
今思えば、大して重要じゃなかった気がする。
『誰にも言うなよ!』
「……」
でも、やっぱり喋っちゃいけないよな。
二回も念を押されたし。
ここで私が抜ければ、大して守りたくもないが、彼との約束を破ることとなる。
そっちの方が、後味が悪い。
反抗したい気持ちもあるが、裏切るのはもっと嫌だ。
「……やっぱり行く」
「おかえり」
何か負けた気がする。
口を尖らせる私に向かって、紘子は満足そうに微笑んだ。


