それはそれは……
証拠が残ってるという面では、いいことなのだろうな、うん。
「伝えられることは、これくらいかな」
高橋さんは手帳を閉じ、私たちの顔を見た。
彼の目は刑事の目から、子供を心配するお兄さんの目に戻っている。
そんな彼が、おもむろに口を開いた。
「この事件、思っている以上に色々な要因が重なって起きている」
「……」
「もう一度言うけど、無理はしないで」
「はい」
高橋さんに応えられるよう、力強く頷いた。
高橋さんは立ち上がり、私の方を見てにっこりと笑った。
「特に庄司さん。足怪我してるんだから、無理はしないようにね」
「はい……」
何で怪我しちゃったんだろう。
眉をひそめる私に対し、紘子と涼はニヤニヤ笑っていた。


