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つれていかれた場所は、学校の近くにあるカフェ。
チョコーヒーなんて変な代物を見付けてしまったが、見ないことにしておいた。
適当に席につき、高橋さんは立ち上がった。
「何か適当に買ってくるよ」
「あ、大丈夫です。自分で買いに行きます」
立ち上がろうとする涼を、高橋さんが止める。
そして、にっこりと微笑んだ。
「いいよ。君たちは、新井さんの事を見ててね」
そう言って、高橋さんは席を立った。
紘子の方を向く。
彼女は青い顔のまま、俯いていた。
歯を食いしばり、手の甲が白くなるほど、手を固く握り締めていた。
何も言わずに、彼女の背中を撫でる。
それしか出来ない。


