「とどいた!」
花形さんが叫ぶと同時に、私たちの目の前の椅子が三つ、座席ごと後ろに倒れた。
驚いた下がろうとするが、椅子にぶつかる。
倒れた座席から出てきたものは、私と背丈のあまり変わらない、大きな袋だった。
中に何か入っているのか、袋の表面が膨らんでいる。
しかし、周りについた結露のせいで、中に何が入っているのか分からなかった。
「開けてみる?」
花形さんがポケットから小型ナイフを取り出し、尋ねる。
紘子が袋に釘付けになりながら、小さく頷いた。
かなり怖い。
何が入っているのか見当もつかないが、嫌な予感しかしない。
ゆっくりと袋に手を伸ばし、ナイフを入れる花形さん。
袋の内側についていた水滴が、下に落ちていく。


