「いい、恵美。噂を確認するだけなんだよ?どうしてそんなに怖がる必要があるのさ」
「分かんない……」
分からない。
なのに、寒気がする。
別に霊感があるわけでもない。
なのに、どうしてこうも警鐘が鳴り響くのだろうか。
「何か椅子の下にボタンみたいなのがあったよ!」
涼が興奮気味に指を差して声をあげる。
私達は、彼の側に寄った。
「何があったって?」
「赤いボタンだよ。自爆スイッチみたいだよね」
「不穏なこと言わないで」
紘子が呆れたように息を吐く。
花形さんが屈み、椅子の奥へと手を伸ばした。
「も、もう少し……」
花形さんの顔が歪む。
何かごめんなさい。


