暇人達の華麗なる迷推理


本来、用のない生徒の講堂への立ち入りは禁止されている。
と言っても、用のある生徒なんて限られているが。

そう言えば、よく講堂の前を田中先生が見回りしてたな。
今は亡くなってしまったから、見回りする先生なんていないけど。

講堂の中は、誰もいなかった。
壁にハシゴなどが立て掛けてある様子から、工事のオジサンがここに出入りしているようだ。
そのせいか、電気がついたままになっている。

映画館の椅子のような、座り心地の良い椅子が並んでいる。
それともお別れだと思うと、少し悲しい。

「って言っても、こんな明るくちゃ幽霊も出てこないでしょ」

講堂に入るなり、涼が頭の後ろで手を組んで言った。