暇人達の華麗なる迷推理


「私が怪しい人に近付くと思う?」

「思う!」

二人で頷く。
現に近付いたじゃないか。

紘子は男の人と私たちを交互に見て、何か思い出したように手を叩いた。

「二人は知らないんだよね?」

「知らないよ。こんな怪しい人」

私が答えれば、男性は軽く咳払いをする。
そして、彼はポケットから見慣れない手帳を取り出した。

「花形恵一(はながた けいいち)。これでも、警察やってるよ!」

「これでもって……」

紘子が呆れたように溜め息をつく。
彼女は花形さんの肩を勢いよく叩いた。

「しっかりしてよ、ケイ兄」

「ケイ兄!?」

もう驚くことしかできない。
目を丸くしたまま、紘子を見つめる。
すると彼女は、少し照れ臭そうに笑った。

「昔、家の近所に住んでてさ。それで色々と交流があって、その癖で……」

あぁ、なるほど。