暇人達の華麗なる迷推理




時間は飛んで放課後。
小さいガトーショコラを買おうと、私たち三人は食堂へ向かっていた。

「あ、あれ?」

玄関を横切ったところで、紘子が足を止めた。
彼女はドアの方を向いたまま、眉を寄せて凝視している。

何事かと思い、涼と私もドアの方へ目を向ける。

「おっひゃあ!!」

涼が変な声をあげる。
彼は口を押さえ、少し顔を赤くした。

私も寸でのところで、悲鳴を押さえる。
涼の気持ち、分からんでもない。

――ドアの所に、男の人が張り付いていた。

別にドアに鍵が閉まって入ることができないとか、そう言うわけではない。
張り付いている人は窓ガラスに手を当て、中の様子を窺っているようだった。

その格好が、凄く怪しい。

下校する生徒も、怪しそうな目でその人をチラチラと見ていた。