何か呆れられてる気がする。
彼女は溜め息をつき、メモ帳を閉じた。

「取り敢えず、明日何とかして講堂に行ってみよう」

「了解!」

コクリと頷く。
その時、涼が辺りを見回して不思議そうな顔をした。

「そういえば、例の後輩は?」

少し躊躇いがちに訊く。
紘子は何事も無かったようにココアを口に含む。
彼女がカップを置く音からして、中身は空っぽになったようだった。

畜生……

「帰ったよ」

「あれ、意外だな」

「うん。ちょっと、身の危険を感じた」

そう言って、紘子は小さく身震いした。