暇人達の華麗なる迷推理




「たまたまだって!たまたま!」

私たちの席に着いた紘子に向かって、言い訳をする。
無駄かもしれないが、しないよりはマシだ。

「だったら、このメモ帳はどう説明するんだよ?」

彼女は私のメモ帳を取り上げ、目の前にかざす。
その声は低く、少し震えている。

……マズイ。かなりマズイ。

「そ、それは……」

「それは何だよ?」

「……」

目を逸らす。
もう何も言えない。

「で、ハッキリ訊くけど、お前ら私を尾行していたわけ?」

そうです、ごめんなさいなんて言えるハズがない。
涼をチラリと覗き見れば、彼も困ったように顔をしかめるだけ。