「それにしても、本当に面白いですね!」
未来ちゃんが笑いながら話し掛ける。
紘子も笑い返すが、どこかぎこちなく感じた。
椅子を引く音が聞こえてくる。
いよいよ、本題に入るのかな。
「紘子先輩って、好きな人いますか?」
……本題じゃなかった。
いや、彼女にとっては本題なのかもしれない。
丁度カップを二つ持って、涼が戻ってきた。
頭を下げ、カップを受け取る。
「何の話してるの?」
小声で尋ねる涼。
私はカップに口を付けながら答えた。
「紘子先輩って好きな人いるのー?だって」
「ハァ!?」
目を丸くし、穴が開くほど私を見てくる。
正確には、私の背後にいる紘子たちを見つめているのだが。


