紘子が指差したのは、駅前のスクウェアビル。
了解、了解。
「ごめん、私抜けるわ」
「顔色悪いですけど、大丈夫ですか?」
未来ちゃんも訊いてくる。
少しだけ申し訳無くなった。
「大丈夫。じゃあね」
それだけ言い残し、私は足早にその場を去った。
二人が見えない所まで来た。
ここまで来れば絶対にバレないハズだ。
私はカバンの中からキャップ帽を取り出し、サッと被る。
そして携帯電話を取り出し、電話を掛けた。
「もしもし?ちょっと早いけど、抜けてきた。紘子達はスクウェアビルうろつくって」
『了解。今どこにいる?』
「本屋の前。黒いキャップ被ってるの、私だから」
『分かった。今行く』


