ぼんやりと先生の話を聞いていると、ワイシャツの袖を廉に引っ張られた。
素直に彼の方へ向く。
「ぶつかったんだ?」
「そうなんだよ」
ちょっと痛みが戻ってきた。
おでこをさすり、痛みを和らげる。
「大丈夫?」
「大丈夫だよ。ありがとう」
アレ、何か心配してくれるなんて珍しい。
ちょっと嬉しくなって笑えば、彼も微笑み返してくれる。
廉は笑顔のまま私のおでこに手を伸ばし――
「えいっ!」
ぶつけた場所を突いてきた。
「だああぁぁぁっ!!何すんだこのやろうっ!」
「え?いやあ、何か面白そうだなって思って」
「面白くなんかない!何がえいっ!だよ!意味分からんわ!」
「いいじゃん。減るもんじゃないし」
「そう言う問題じゃない!私は、私はなぁ……」
お前の事意外といいやつじゃんかって言おうとしたのに!
ちょっと見直した自分がバカみたいじゃん!!


