今度は紘子が尋ねる。
先生は少し残念そうに頷いた。
「未だに見付かっていない。どんなに探しても、彼女の行方が知れることは無かったんだ」
「……」
これなら普通の家出事件だ。
学校側がここまで隠したり、あわてふためくことではないと思う。
不思議そうな顔をしていると、洋介先生は小さく顔を歪めた。
「これが、家出とかだったらまだよかったと思う。でも、彼女は違うんだ」
「違う?」
私の隣で廉が反応する。
「彼女は――学校の中で行方不明になったんだ」
「……」
いや、笑い事じゃないのは分かってる。
確かに学校の敷地は広いから、新入生など迷子になることはある。
それでも行方不明って――


