「ほーら、いがみ合わない!」
紘子にぺちりと頭を叩かれる。
涼に助けを求めたが、彼もニヤニヤして見ているだけ。
「あれ、知り合い?」
「まあ、そんなもんです」
驚いた顔をする洋介先生に紘子が笑って答える。
廉は洋介先生との間隔を開け、間に座るよう促した。
ありがたく腰を掛け、洋介先生の方を向く。
隣が廉なのが癪だが、今はそんなことを言っていられない。
一息ついたところで、涼がおもむろに口を開いた。
「先生、そろそろあの事について教えてください」
「あの事?どの事?」
「"あの事"ですよ。先生がちょっと仄めかしていた」
「あぁ、あの事ね」


