「ごめん、私帰るわ」
くるりと背中を向け、職員室を去ろうとする。
そんな私の首根っこを誰かが掴んだ。
「恵美ー?いくら嫌いだからと言って、逃げるのはよくないよー?」
紘子だった。
彼女は私の首根っこを掴んだまま、ズルズルと引きずっていく。
そして、彼女は立ち止まった。
「こんにちは、洋介先生。そんで久し振りだね、清水くん」
あぁ、やっぱりな。
だから帰りたかったんだ。
廉は私たちを見るなり、少し嬉しそうに微笑んだ。
「こんにちは!紘子先輩、杵島先輩、それと……恵美先輩」
最後だけ勿体振るように言うなよ。
先生の前だからワザと先輩つけてんのか畜生。
いつものように砕けてみろよこのやろうっ!


