暇人達の華麗なる迷推理


「何なんだ……」

「恵美、大丈夫?」

両手を目の前で振ってくる紘子。
涼も苦笑いを浮かべていた。

「ごめん、何でもないよ!」

「頭ぶつけたね」

「あのさ、ニヤニヤ笑わないでほしいな」

文句を垂れ、口を尖らす。

職員室に前にあるベンチに向かうと、洋介先生がいた。
顔は見えないが、男子生徒と話しているようだった。

「邪魔しちゃ悪いかな」

紘子が呟き、引き返そうとする。

「あ、待って!」

そこを洋介先生が呼び止め、こっちに向かって手招きをしている。
彼に流され、背を向けていた男子生徒も振り返った。

あぁ、何だろう。
この感情、色々と久し振り過ぎる。