「色んな環境が重なると、こういう事になることがごくまれにあるんだ。
何年経っても、綺麗な状態で死体が残ってる。僕も最初に聞いたときはビックリしたよ」
「なる、ほど……」
「まぁ、今回の場合は最初から蝋を被せたんじゃないかと言うのが、向こうの見解なんだけどね」
「そうですか」
さっぱり分からない。
シロウなんて、てっきり人の名前かと思ってた。
「それとね」
高橋さんが指を立てる。
私たちは、再び彼の方を向いた。
「あの腕、どうやら女性の物らしいんだ」
「本当ですか!?」
紘子が目を丸くする。
高橋さんは小さく頷いた。
「ここからは僕の想像なんだけど、もしかしたらこの腕も先生方の言っていた"あの事"と関係するのかもね……」
「……」
もう黙ることしか出来なかった。


