暇人達の華麗なる迷推理


食堂に行く途中、玄関ホールを横切る。
9月だと言うのに、暑い日が続く。
開け放たれたドアから、生暖かい風が流れ込んできた。

そんな中、少し困ったように佇む男性が一人。
彼の頭は流れ込んでくる風のせいで、この間見たときよりもボサボサになっている気がする。

「高橋さん!!」

2日ぶりに見た顔だ。
私たちが呼び掛けると、高橋さんは笑顔で手を振ってくれた。
少し嬉しくなって、駆け寄る。

「高橋さん!あの、話があります!」

紘子が少し興奮したように高橋さんを見上げる。
彼は笑顔で頷き、紘子の肩を掴んだ。

「分かった。僕も、君たちに幾つかの報告があるよ」

「本当ですかっ!?」

「うん。だから、少し落ち着こう」

「はい!」