顎に手を当て、考え込む涼。
眼鏡を押し上げ、彼は小さく呟いた。
「身を引いた方が安全だと思うけどね、とか言ってたよね。うん、やっぱり怪しい」
「でもさ、一番怪しいと思うのは西川先生だよ」
紘子が指を立てる。
彼女はそのまま、私のボイスレコーダーを指差した。
「ハッキリと憎いって言っていたしね。それに、アリバイも無い。殺害しててもおかしくないよ」
「確かに……」
あの人がよさそうな先生がねぇ……
人には表裏があると言うけど、やはり信じられない。
そうは言いつつ、やはり西川先生は怪しいな。
「午後七時に田中先生を呼び出し、ナイフで刺す。そして、階段から落とす。やっぱりこうでしょ!」
「まだ西川先生が犯人だと決めつけるのは早いけどね」


