紘子が不満そうに顔を上げる。
喋らないんじゃない。喋る事ができないんだ。
涼は相変わらず、ポカンとしたまま。
私もただ、彼女の話を聞くことしかできない。
「まぁ、いいや。次に、田中先生についてね」
「うん」
「田中先生については、みんないい印象は持っていないようだね。
北村先生は固かったって言っていたし、割りと大事な事を任されていたってね」
「うん……」
ここまで簡潔にまとめられる紘子が凄い。
そんな私の気も知らず、彼女は話し続ける。
「東先生は田中先生とあまり関わりが無いって言っていた。南波先生先生においては、その話題を避けているようだったね」
「そうだね……何か怪しい」


