何かしんみりしてしまった。
妙な気持ちになったまま、教室のドアを開ける。
「あ、お帰りー。遅かったね」
紘子が笑顔で手を振ってくる。
あぁ、何か安心するな……
「で、どうだったの?」
「うん。南波先生と西川先生に話を聞いてきた」
「西川先生?」
涼が声を上げる。
それに対し、紘子は少し感心したように目を細めた。
「恵美……成長したね」
「だからやるときはやるって言ったでしょ?」
「言ってたね。で、ボイスレコーダーは?」
「この通り」
ポケットから黒いレコーダーを取り出し、紘子に手渡す。
彼女はスイッチを入れると、耳をつけて聞き始めた。