暇人達の華麗なる迷推理


「何だろう……君ってアカネに似ているな……」

「アカネ?誰ですか?」

初めて聞く名前だ。
まぁ、交友関係の狭い私だから、知らないのかもしれない。
あ、でも呼び捨てだったから先生の妹さんとか……

「三年前までこの学校にいた生徒だよ。いつからか、保健室登校していてね」

「そうなんですか……」

「うん。懐かしいなぁ……」

先生が遠い目をする。
アカネさん、年齢的に今は大学生かな。

部屋がしんとする。
壁に掛かっている時計の音と、外で部活をする生徒の声が聞こえてくる。

「……先生、田中先生ってご存知ですか?」

気が付いたら、そんなことを口走っていた。
途端に先生が驚いた目で私を見てくる。