暇人達の華麗なる迷推理


沈黙が落ちる。

自分のスカートをじっと見つめていると、頭の上から声が降ってきた。

「引退したのは知ってるけど……次の部誌に短編一本。君だったら出来るでしょ?」

「……頑張れば、出来ます」

「じゃあ、交渉成立だ」

顔を上げ、先生を見る。
彼は一つ頷くと、一冊のメモ帳を開いた。

「事件が起きたとき、残念だけど僕は学校にいなかったよ」

「そうなんですか?」

「用事があってね。たまたま下駄箱で会った田村先生と一緒に帰ったよ」

「じゃあ、アリバイは……あ、でも田村先生はダメですよ」

「分かってるよ。職員室にあるタイムカードを見れば、いつ帰ったか分かる。
それに、帰るときに事務の先生に一言声を掛けていったから、それを確認すればいいよ」