先に話を取られ、しどろもどろしてしまう。
先生は笑みを湛えたまま、近くのベンチに腰掛けた。
私が隣に座るのを確認すると、彼は一つ頷いて話し出した。
「北村先生から聞いた。君達、先生のアリバイを調べているんだって?」
「え、い、いや……」
いきなり核心を突かれ、何も言えなくなる。
いつも厳しい北村先生に比べ、柔らかな笑みを浮かべている南波先生。
だからこそ、雷が落ちると物凄い破壊力がある。
今も、何だか雲行きが怪しくなってきた。
「答えようか。誰の差し金で、こんなことをしているのかな?」
「……自分達の意志です」


