『田中先生?俺もあんまり話したことないから分からないな』
『そうですか……』
『だって、体育と数学だよ?どう頑張っても、関わりは持てないと思うけど?』
東先生、頑張れば関わりくらい簡単に持てると思う。
つまり、あまり田中先生と仲がよろしくなかったと言うわけだ。
それが分かれば別にいい。
しばらく雑談が続き、ボイスレコーダーは切れた。
「……」
三人とも、黒い物体を眺める。
「これから涼に頼まないようにしよう」
やがて紘子が小さく言った。
涼、ごめん。
これはさすがに庇いきれない。
私も紘子に同意するわ。


