*
「これ、返すね」
お昼休み。
涼が机の上にボイスレコーダーを置いた。
思わずレコーダーと彼を交互に見る。
「訊いてこれたんだ!」
「まあね」
親指を立て、どこか誇らしげに笑みを浮かべる。
お弁当を食べてた紘子が顔を上げた。
「それで、全部入ってるの?」
「入ってるよ!事件の時のアリバイと、田中先生の事について」
「おぉー!」
「じゃあ、早速聞いてみよう!」
ボイスレコーダーを弄り、再生ボタンを押す。
周りのガヤガヤした声と共に、涼の声が聞こえてきた。
『あの、先生』
『どうした?杵島』
『あの、事件の日の放課後って何してました?』
その言葉に、思わずコケる。
紘子も眉を寄せ、あからさまに嫌な顔をした。


