暇人達の華麗なる迷推理


しかし、いつまでも座っているワケにはいかない。
ボールを抱え、立ち上がろうとした。

「あだっ!!」

途端に、左足首に激痛が走る。
立とうにも立てない。
みんな心配そうな目で私を見てくる。

ボールを味方に渡し、私は這ってコートを出ようとした。
紘子が慌てたように駆け寄ってきて、肩を貸してくれた。

左足を引き摺りながら、何とかコート外へ出る。
靴と靴下を脱ぐ。
左足首が赤紫色に変色し、腫れていた。

「大丈夫?」

「大丈夫……多分」

疼痛に顔をしかめる。
こんな怪我、運動部ではない私からしたら初めてかもしれない。

先生の持ってきてくれた氷を足首に巻き付けながら、紘子が呟く。

「バックで走っちゃダメ。こういうことになるから」

「それ、もうちょい早く言ってくんね?」

「それと、恵美の言ってた通りになっちゃったね」

「何が?」

「転んで保健室行き。もう預言者レベルの的中率だよ」

「……」

私としたことが。