暇人達の華麗なる迷推理




そして、翌朝。
部長に呼び出された社員のごとく、私達は紘子の机に集まっていた。

「面倒だから、今日一気に三人とも訊いちゃうよ」

「うん!」

涼が頷く。
彼女はカバンの中からボイスレコーダーを取り出すと、それを涼に渡した。

「今日は三時間目に体育がある。確か、男子の体育の先生って東先生だったよね?」

「そうそう!」

「だから、体育の終わりにでも先生の話を聞いてきてほしい」

「了解!」

ビシッと敬礼。
敬礼だけは、一丁前だな。

ん……?
でも、待てよ……

「涼に渡したら、今日一日紘子の手元にボイスレコーダーが無いってことになるよね?」

「そうだね」

「だとしたらさ、もし体育の時間に紘子が怪我して保健室に行ったとき、証言録音してこれないよ?」

「それはそうだけど……早々怪我なんてしないよ」

「でも、万が一って時があるじゃん!」