“サリー!こっちおいでよ”
あたしを呼ぶその声が部屋から聞こる気がする。
「サリーって魔法使いみたいで恥ずかしいから呼ばないでって何度も言ったのに・・・」
ナオトはあたしを“サリー”と呼ぶ。
「“リサ”だから“サリー”って呼ぶんだよ」って意味のわからない事を言ってたよね。
あたしがちょっと機嫌損ねたりしたら、「マハリ~ク♪マハ~リタ♪」ってよく歌って・・・
クスっ
思い出すだけで、思わず笑いがこみ上げてくる。
それと同時に温かい涙があたしの頬を伝った。
「・・・もう行かなきゃ・・・」
あたしはガチャリと鍵を掛けて、隣に住んでいる大家さんに鍵を返しに行った。

