龍太郎が決勝に進出するという世紀の番狂わせの興奮冷めやらぬ中、準決勝は第二試合を迎える。

決勝への椅子は残りあと一つ。

それを奪い合い、太刀合わせするのは夕城 翡翠とフェイレイ=グリフィノー。

かたや夕城流宗主、生まれ落ちた瞬間より流派と一族の威信を背負って立つ宿命を帯びた男。

かたや9歳で魔族退治を請け負うギルド(傭兵派遣・育成機関)剣士養成学校入学、最年少の12歳で剣士候補生昇格、半年後、正規の傭兵となり、15歳で国の英雄、17歳で世界の勇者となった少年。

「こんな武術大会でもないと、戦う理由なんてどこにもないなぁ」

苦笑いするフェイレイに。

「理由など必要ない」

腕組みしたまま、翡翠は言う。

「俺の往くべき道に貴様が立ちはだかるなら、それが仕合の合図だ」