「もしかして、高校のとき
廣瀬くんと電車一緒だったの?」
彼は少し微笑んだ
「思い出した?」
「高一のとき電車で同じ高校の
男の子を起こしてあげたことがあるの」
それから電車で会うたび
会釈してた気がする
「俺は完全に一目惚れだったね」
「え?」
「起こしてくれた女の子が
最強に可愛かったから」
「何言ってるの...?」
「わからないの?
眞田さんにとっては
忘れちゃうような存在で
忘れちゃうような告白だったのかも
しれないけど、俺にとっては
眞田さんが全てだったよ」
「オーバーだよ」
少し笑ってしまった
忘れられてしまう存在だった
わたしのことを覚えてくれてる
人がいる。それだけで
すごく嬉しい
「あの頃の眞田さんは
キラキラしてたよね」
だってあの頃は...
「恋してたでしょ?」
「え?」
「俺は多分全力で恋してた
眞田さんに恋したんだよ」
思わず足を止めて
廣瀬くんを見る
思わず涙が出てしまった
「ねえ、眞田さん
いま本当に恋してるの?」
