短距離には自信があった。


スタートラインに立ち、周りを見ると女子の集団と少し離れた所に知恵と桜ちゃんが立っていた。



隣を見ると一度も話したこと無い転校生が涼しげな表情で立っていた。



笛が鳴りスタート切ると風のように走る転校生の足の速さに驚いた。


早っ…


息を切らしゴールし隣を見た。



「お前、足速いな…」



転校生に声を掛けようとすると

「鮎っ!!」

と叫び慌てたよに知恵の元へ駆け寄って行った。



知恵を見るとグッタリしたように倒れている。


躊躇う事なく転校生は心配そうに知恵を抱え保健室へ連れて行った。



そんな光景があまりにも自然に見えて胸騒ぎがする。