「見つけた」



高校1年生の春


張り出されたクラス表を見ながら俺は自分の名前より先に探した知恵の名前。


良かった、受かってたんだ。



しかも同じクラス。
 

中学は別々だったが知恵の事は知っていた。


テニス部だった知恵は俺の中学に、よく練習試合をしに来ていた。


話した事もないし俺の存在もきっと知らないだろう。


いつの間にか遠くでいつも友達と笑っている知恵を目で追うようになっていた。


好きとか付き合うとか正直この頃の俺には分からなかった。


ただ、その笑顔を俺にも向けて欲しくて話がしたくて知恵と同中のヤツに志望高を聞き出しこの高校へ入学を決めた。


意気揚々とクラスに入り話し掛けてくる友達も無視し知恵を探した。


窓際の一番前の席


騒がしい教室の中その輪に入る事も無く机に肘をつき、ただ外を眺めている知恵は俺の知ってる知恵とは少し印象が違って見えた。


孤立してる訳でも無いし話す人が居ないわけでもない。


ただ必要以上にクラスメイトに関わらない。



知恵との高校での再会は少し寂しかった。