沢田に呼ばれ急いでお弁当の準備をしている彼女を見ると中学生の頃を思い出す。


ふと廊下を見ると沢田と目が合い咄嗟に逸らしてしまった。
 

「ごめんね」


俺の横を走って沢田の元へ行く彼女には俺の存在なんて無い様に感じた。


昼食を終え騒がしい教室を抜け出し転校手続きの書類を持って職員室へ行くと担任の前で困った姿の彼女が居た。


「ちょうど良かった、松本これ視聴覚室に運ぶの手伝ってやってくれないか」

担任が指した先には大量の資料


俺を一瞬見て戸惑う彼女


「先生、私1人でも大丈夫―」


彼女が断ろうとするのも構わず荷物を持ち職員室を出ていた。


自分でも何故こんな行動を取ったのか分からなかった。



ただ、彼女と歩きたかった。



「久し振り」



俯いていた知恵が上げた顔は



あの頃より大人で…

綺麗で…

俺の知らない顔で…