私のイヤホンを片手に、ムスッとした表情を浮かべる彼女。
「どうしたのじゃないわよ!ったく…さっきから呼んでるのに、ボーッと窓の外眺めて…」
イラついた口調で言うと、私が開けた窓から入ってくる風になびく黒髪を、鬱陶しそうに耳にかけた。
「ごめんって。でも、これからイヤホン抜くのはやめてね。耳イタイ」
「あ、これ新曲じゃない。へぇ、もうダウンロードしたんだ」
人の話、聞いてる?
そう呟く私を他所に、片方のイヤホンを耳にはめ、音楽を再生する修子。
半分こされるメロディー。私たちの距離が、コードの分近づいた。
「…ねぇ、」
「んー?」
「空って青いよね」
「当たり前じゃない」
ipodをカチカチ弄りながら、修子が上の空で答える。
当たり前。そうだよね、空は青い。