バットにボールを当てる音がする
きっと樹理だ
今日は一人なんだ
樹理はこの夏のためにこんなに練習してきたんだ
もうすぐそのすべてをぶつける日が来るんだよね
樹理はあたしの足音に気づいて振り返った
こんな近くで樹理の顔を見るのも久しぶりかも…
「………咲良…?」
あたしに気づいた樹理は手を止めた
「続けて?別に邪魔しに来た訳じゃないから(笑)」
「誰がおまえの横でバッティングするかよ
俺は今でもおまえに勝てる気しないから」
「……………」
あたしは何も言えない
なんて返せばいいの??
「ごめん…
おまえにこの話は駄目だったな」
なんだ…
意外と話せるじゃん

