真白さんの魔法



「なら、生きろ」

「え?」


私は俯いていた顔を上げた。

凛とした声で、彼は私になんて言った?

生きろ? 私は死を望んでいるのに?


「ど、どうしてですか?」

「理由が欲しいのか? なら、来い。君の中に眠る答えを教えてやる」


私の中に眠る答え……。

それが一体なんなのか。

私はその理由を知るために、伸ばされた手を掴んだ。

その刹那、真白さんは私の体を抱き寄せて、


「俺の手を離すな。しっかり掴め」

力強く、けど甘く囁くように言われ、私は無言で首を縦にふった。

ち、近いんですけどぉぉぉ~~っ!?

そんな私をお構い無しに、真白さんは音もなく空に浮いた。


「わっ! う、浮いてるっ!?」

「浮いただけで驚くな。これから飛ぶんだからな」

「えっ? きゃあっ!?」


真白さんは私を横に抱える。

いわゆるお姫様抱っこだ!


「ま、真白さん降ろしてください! 私、重いし! 恥ずかしいですから!」

「いや、君は軽い方だ。寧ろ少し肉をつけた方が柔らか……」

「変態発言はいりません!」

「良いから。黙って捕まってろ」


そんな真剣な瞳で見つめられたら、何も言えないよ。

私はぎゅっ、と真白さんにしがみついた。