私の目の前に現れた、全身真っ白な男の人。

彼は、一体――。


「で? 何から助ければ良い? 見た所、金には困って無さそうだが……。そうだな、敢えて言うなら。貧にゅ……」

「どっ! どこ見てんですかぁっ!?」


今までの事全て訂正します!

彼は何者か? ただの変態だっ!

真剣な顔でじろじろ見ていたと思ったら、む、胸の事を……っ!

一番気にしてるのに!

とりあえず私は、まだ何者か分からない変態イケメンさんを鞄で殴ってやった。


「暴力反対。さっきのは素直な感想なんだが。気に入らなかったか?」

「寧ろ逆に聞きますが、今の言葉を気に入る女性がいるのですか!? 変態さん!」

「俺は変態じゃない。真白だ。叶枝真白」

「か、かなえましろ?」


変な名前だけど、彼には合うかも知れない。

全身真っ白だし。


「じ、じゃあ……真白さんと呼んでも?」

「ん。良いぞ。で、どうするんだ?」

「あの、その前に質問をしても良いですか?」

「あぁ」

「真白さんは、人間……ですよね?」


私は、彼の姿形からは普通の人だと感じてるけど、どこかふに落ちない。

彼には、きっと何かある。


「人間だが、この世界の人間じゃない」

「え?」

「俺は魔法使いだ」

「はっ……!? えぇっ!? 魔法使いぃっ!?」


驚く私を余所に、真白さんは体を地面から浮かせた。

あ、本当だ……。魔法使いって、現実世界にも居たんだ。