真白さんの魔法


「それでな由紀」

「はい……」

「何か持ってきてくれたのか? 下着なら大いに喜ぶが?」

「大いに喜ぶ物じゃないですが、アイスでもどーぞ! 頭冷やしてくださいよ!」


全く、この人は空気を読めないんだから。

それでも真白さんは以前より、優しい気がする。

私がこうしてほぼ毎日来ても怒らないし。

寧ろパンツパンツ煩いけど……。

でも、突き放されるよりはましだ。


「由紀、中に入れ。外だと暑いだろ?」

「え? けど、良いんですか?」

「悪いと言う理由があるのか?」

「~~っ、ない、ですかね?」

私はおそるおそる靴を脱いで部屋に上がる。

けど、真白さんの隣にはいけない。

そんな私に首を傾げた真白さんは、ずいずいと寄ってくる。


「ちょっ、ま、真白さんっ!」

「なんだ?」

「ちか、ち、近すぎませんか!?」

あぁ、緊張して声が裏返った!

恥ずかしい!

顔を赤くする私を余所に、真白さんは小さく笑った。


「近くないだろ? 前ほどは。ほら、折角のアイスが溶ける」

「あ、はい……っ」


どきどき、隣に座る真白さんに。

気づいてるのかな? 私の気持ちに。

ちら、と顔を上げると真白さんはアイスに夢中で、私も同じようにアイスのカップを開けた。