真白さんの魔法


来た道を帰る、途中の横断歩道には、まだあのノートが残っていた。

そうか、このノート三冊ずつあったんだ。

私は電柱にくっついているノートをそっと覗きこんだ。

そのノートには沢山の落書きや悪口が書かれていた。


(こんな事の為に、あるんじゃないのにね……)


私は持っていたノートをそっと撫でた。

そのノートが少しだけ笑った気がした。

私はもう一度ノートを見ると、落書きに被さるように赤色で×と記されていた。

一体誰が書いたんだろう……。

私は疑問に思いながら、青に変わった横断歩道を渡った。


街角に置いて……浮いてあったノートは、まだ誰にも書かれていないのか、とても綺麗だった。


「そうだ。ここに被せて置けば大丈夫だよね?」


私は破られたノートをその浮いてあるノートに被せた。

少し汚いけれど、使われないよりましだよね?

私がもう一度ノートを見ると、一行目に 、


『叶えたい願いを書け』


と、乱暴に記されていた。


「あれ? さっきは何も書いて無かったのに……」


ちょっぴり怖くなったけど、もしかしたら新たな扉が開くかもしれない。

けど此処にば叶えたい願いを書け"ってある。

という事は、誰かが私の願いを叶えてくれるのかも……。


(もしかして、ノートの恩返し……てきな?)


どうしても放って置けなかった。無視をしてしまっても気になっていたから。


「……よしっ」


私は勇気を出して、ノートの傍に置いてある黒いボールペンを持ち、書いた。

゙たすけて"と――。