真白さんの魔法


放課後になると、教室からいっせいに生徒が外に出ていった。

そりゃそうだ。

今日一日授業があるたび窓の明け閉めの攻防が続いていたせいで、クラスの大半はイライラしまくっていた。

頭に血が上りすぎたんだろうな……。

かくいう私も我慢の限界で、皆程じゃあないけどいそいそと教室を出ていった。

外に出ても暑いのは変わらないけど、コンビニに寄るとクーラーが効いてて涼しい!

ついでに寄ったからカップアイスを二つ。

会計を済ませて、真白さんが居るであろう廃墟のビルへと向かう。


「うわ、ここも暑いなぁ~」

額から流れ出る汗を拭って、古い階段を上り屋上のドアを開ける。


「真白さーん?」

ドアを開けると、いつもなら田舎の風景が目に飛び込むのに、今はなんと部屋になっていた。


「んなっ!?」


驚いて振り返るけど、見ればボロい階段とかが見えて、前を向けば真っ白い壁に水色系のベッドやテーブルが綺麗に置いてある。

やばい、別世界か!?


「由紀か。待ってたぞ」

「ま、真白さん! これは一体!?」

「俺が魔法でな。簡単な事だ」


なんてしれっ、と言うけど大丈夫なんですか?

貴方浮いてるのに、ベッドで寝られるんですか!?

私が真白の足元に目を向けると、ちゃんと足は地面に着いていた。


「え? あの……もしかして、願い事きたんですか?」

「あぁ。ついさっきな」


良かった、のになんだかちゃんと笑えないや。