真白さんの魔法


教室に入るともあっ、と暑い空気が流れて来て、思わず眉を寄せた。

なんでこんなに暑いの!?

一生懸命に走った私の体はもう汗だくで、この暑さには耐えられなかった。


「おー、ゆっきー! おっはー!」

「元気だね、朱美。それより教室半端なく暑いんだけど……」


私の言葉を聞くと朱美は苦笑する。


「あれね。オシャレグループのせいだよ」


オシャレグループは私のクラスで可愛い女子の事を指してる。

まぁ用は男子にモテる人達だ。


「何かあったの?」

「うん。夏になってから虫が増えたでしょ? そのせいで窓側にいた女子がね叫ぶ叫ぶ」

「あー、なんとく分かった」


つまり、窓を開けっ放しにしてたら虫が入ってきて、それを目にした女子が叫んだ。

それで窓を開けないようにした、って訳か。

虫は確かに嫌だけど、これ先生は許さ
ないんじゃないかな?


「後で先生が説得してくれるんじゃないかな?」

「だね! にしても暑いなー」

「朱美、暑いって言うの禁句ね」

「えっ!? あつ……じゃあ寒いって言うよ」


そうして、と告げたら朱美は暫くずっと寒い寒いと言っていた。

暫くして先生が入ってきて、朱美に「寒いなら厚着しとけー」とからかわれていた。

ごめん、朱美……。