真白さんの魔法


時間がないと分かっていても、暑さのせいで走る気力もない。

まだ七月だよ? 今からジリジリ照らして八月まで持つの?

いや、むしろどっか行って欲しい。

私の真上を睨み付けるようにしている太陽が憎いわ。


「もーっ! 夏なんて嫌い!」


太陽を睨むように顔を上げると、空を一人歩く人を見掛けた。


「あ……真白さんだ」


こんなにぎらぎらした太陽が間近にあるのに、真白さんは涼しげにしてる。

遠くからでも見えるけど、相変わらずノートを広げて前を見ていない。

まあ空には危険な物は余りないかもね。

それにしても朝から良いもの見れたな。


「よしっ! 今日も頑張ろう!」


いつまでも暑い暑いと言ってられないしね。
私は元気に学校まで駆け出した。