すると急に景色が晴れやかになり、気が付けばそこは下界になっていた。
綺麗な大空だ。天界とは全く違う。
だが景色を楽しむ余裕なんてもの、今の俺にはない。
手にはめられた手錠は未だに離れようとはせず、俺はただ目を閉じた。
(下界に落下している今、受け身も上手く取れず頭を強打し死亡。だろうな……)
それでも良かった。
今の俺に守る人などいないのだから。
だが、
急に手錠がパリンッ! と外れた。
目を開けると、体はあと一センチというギリギリで止まり、俺の体は浮いていた。
きっとこれは俺の体に染み付いた魔法が反射的にしたものだろう。
あぁ、また俺は死ねなかったのか。
悲しみに目を閉じようとしたが、周りにいた人々に怪訝そうに見られ、俺は一旦路地裏に回った。
