体が重力に敵わず落下する。

見えていた天界ももはや白い霧に阻まれ、見えなくなった。

何も変わらない日常が一気に変わり、俺はこのまま地獄に落ちるような気がして怖くなった。

あの事件の犯人は真黒だった。

なぜ、と聞くのは野暮だろう。

あいつは常に俺の上を行く事を望んでいた。

だが、力で勝てないと分かったあいつは最低な手段で俺に勝とうとした。

結果――俺の負けだ。

両親を守れなかった上に天界にも居られない。

これで気を良くしたあいつは、徹底的に邪魔者を排除する為、弱気になっていた俺を簡単に亡き者にした。

冷静に分析しながら、俺は真黒に対して怒りを感じていた。

だが父さんは俺に言った。


『憎しみは何も生まない』


憎しみが生むのは復讐だ。

俺は復讐したい訳じゃない。

きっと……違う……。